Reports / Kenji Fukuma's Page

上映レポート

  • 監督特集プラス2『秋の理由』3月19日

    「福間健二監督特集プラス2」最終日は、『秋の理由』を上映しました。
    トークゲストは、本作の作家「村岡」役の、映画監督で俳優の佐野和宏さん。そして、声の出ない彼が筆談機に書く言葉を読むアシスタントとして、本特集初日にも登場していただいた、やはり映画監督で俳優の今泉浩一さん。
    親しいお二人を相手に、福間監督も最初からリラックスした表情です。

    「佐野和宏。演技者・表現者としての彼のすごさがわかるのは、撮影の現場に入ってからだった。煎じつめて言うと、私は彼の演技に、映画史の初期の、監督もした名優たちに通じるような底力を見た」と書いている福間監督。
    佐野さんを普段は「サノちん」と呼んでいるそうです。トークではその「サノちん」になったり「佐野さん」になったり「佐野和宏」になったりしていました。

    福間監督「佐野さんの力に支えられた。ありがたかった。でも、彼は手きびしい。声は出ないけど、そうなんです。いつも辛辣なことを言われています」
    佐野さん「『秋の理由』は、福間作品のなかでは異色。他の作品は言葉の浮遊感の映画。これは肉体があった気がする。伊藤洋三郎さんと寺島しのぶさんのおかげかな」
    福間監督「サノちんの力、その方が大きい。佐野・伊藤の対決、佐野・寺島の対決、それまでやったことのなかった大人の芝居を撮った。佐野和宏がいたからできたこと」

    佐野さん、伊藤洋三郎さんについては「もっと一緒に飲んで臨めばよかった」。
    寺島しのぶさんとは「真剣勝負。相手がどう出てくるかわからなくて、おもしろかった」。
    福間監督、佐野さんと寺島さんの夫婦ゲンカを撮ったときのエピソードを語ったあと、「そこだけでなく、佐野さんの演技が、ぼくと鈴木一博カメラマンを動かした」と。

    佐野さん「(福間作品は)いつも画面がおとなしいから」
    福間監督「三脚立ててフィックスでやってきたのを、それじゃできないように動いてくれた」
    佐野「いつまでもカットをかけてくれない」
    福間「カットかけないでいると、おもしろいものを見せてくれる。表情が変わっていく」
    佐野「やることがないから(しかたなくて)」
    福間「いつまでも見ていたくなる。一回しかできないことが、そこで奇跡的に起こっている。そう思って、ふるえが来るほどだった。そういうことがあって、映画はできる」

    佐野さんも、寺島さんも、福間監督も、テストがきらい。テイクワンで決めたい。それが一致したということなど、興味津々の話が、さらにつづきました。
    最後に、『パラダイス・ロスト』について。
    今泉さん「死を扱っているけど、悲劇的ではなく、『生きていく』という映画です」
    佐野さん「もとの福間ワールドに戻ったかな」
    福間監督「佐野和宏は福間ワールドを壊しにきてくれたんです。それを受けて、ひとつ動いて、その次ということで、成長もしているかな、と思うんだけど」

    しめくくりは、「福間健二監督特集プラス2」の連日の盛況に対する福間監督の感謝の言葉。さて、いよいよ『パラダイス・ロスト』公開初日を迎えます。
    みなさん、どうぞ見に来てください。そして語ってください。
    応援の輪を広げてくださいますように、心からお願いいたします。
    (宣伝スタッフ 吉祥寺の娘)

  • >> 記事一覧へ