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2020.1.18『パラダイス・ロスト』に出てくる詩 03
*福間健二作品 全篇が出てくるもの (2)
九月の自分
閉ざされた扉
つまり
物語を
語りつくした世界
それを通路にするには
花が枯れてしまった木の
葉の動き
風を見るのだ。
心が
心にむかって
揺れる
九月
遠いさざ波を思って
歩いていると
人の家の塀に
「人類の恩人になりなさい!」
という貼り紙
こういうコピー全部燃やしたら
何が消えて
何が生まれるか。
方法はわからなくても
たたかう理由
ゼロからはじまる自分に
会いに行く。*
〔ノート〕
終盤にむかって、亜矢子の絵ができあがり、講平が書きあげたシナリオ「パラダイス・ロスト」を印刷し、それを亜矢子と翔に読んでもらうまでのシークエンスに亜矢子の声で流れる。詩集『会いたい人』(2016)に所収。
なお、宣伝チラシには「遠いさざ波を思って/歩いていると人の家の塀に/「人類の恩人になりなさい!」/という貼り紙/こういうコピー全部燃やしたら」の部分を抜いた短縮版が載っている。 - >> 記事一覧へ