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千浦僚(映画文筆)
2020年最高の映画。
私は現代詩を充分に知らないが、ある詩句に続く詩句が予想できない連なりや飛躍をすることをその特徴と思い、面白く感じていた。
本作にはそれに通じるカットと場面の鮮やかさが溢れている。
その詩想と大胆さは表現のみならず、生活上に使いうる勇気だ。
光をもらった。 -
切通理作(文筆者)
死者と生者のキャッチボール、愛情について衒いのない表現をするとは?
ということに、向き合おうとすること。
映画と自分、時間との関係について思いをはせることの出来る体験でした! -
杉本真維子(詩人)
人にやさしくしてよいのだ、と思った。大人になる、ということは、やさしくしたい気持ちを我慢することだと、いつからか私は思っていた。亜矢子のように、思いきり、人を招いてごちそうできることの、なんという幸せ。自分ひとりのために生きる時代――「平成」はたしかに終わったのだという気がした。
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須藤健太郎(映画批評家)
本の表紙がよく映る。まるで人の顔のように。こちらを見つめているかのように。
岩田宏の『同志たち、ごはんですよ』も見えた。とすると、食事と歓待にも裏があるか。
映画には反転がつきものだ。ときにそれを切り返しという。死を想うとき、ひとは死者の視線にさらされている。 -
宇賀那健一(映画監督)
言葉を咀嚼しているうちに、登場人物たちがその言葉を肉体化させ先に進んでいく。そんないたちごっこはまるで人生みたいで、とても心地よかったです。そして死者の視線はひたすらに優しく、登場人物を、言葉を、風景をずっと観ていたかった。
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城定秀夫(映画監督)
感想は上手く言えないけれども、これは本当に良かった。和田光沙ちゃんは相変わらず素晴らしいし、葉っぱが風に揺れるだけで感動してしまう映像体験。僕もちょびっと出演しております。
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宮田文久(編集者)
若松プロとゴダールの精神が、2020年の、アジアの、日本の、東京の西の郊外に結晶した。特筆すべきは、あの緑。鈴木一博撮影のever greenな世界。草木の騒めきが、瑞々しい笑顔と身体が、死者へ手向けられた映画を生(活)者たちの賛歌/映像詩へ転化しゆく。
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黒川幸則(映画監督)
安心したくて誰かと語り合う、対話をくり返す生者たち、その青春群像⋯⋯彼らを通わせる、演劇、詩、音楽、絵画、映画、そして食。生きるための技術。フラットな画面の中に時折挿入される揺れ⋯⋯ここは武蔵野だから、夏、永遠のみどり、朝の寝床から原民喜が召喚され、彼らを死者の視点で見守る。よく生きよ。また生まれ変わる。
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和田まさ子(詩人)
とてもよかった。死者の視線、詩の言葉が映画の中でみずみずしく響きあっている。幻想と現実が交差する映像をこう観せてくれるのかと驚嘆。主演の和田光沙さんがいい。音楽も抜群に好き。人と人がつながることはまだできるという奇跡の輝きを見た。
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小林政広(映画監督)
お若いデスね、なんて言ったら、きっと福間さんは怒るだろう。でも、映画を観てる間、ずっと清々しい気持ちにさせてくれた。ゴダールがいてストーンズがいて、何より、青春がそこにある。しかも、死者の目線で。お見事!