『パラダイス・ロスト』は、『あるいは佐々木ユキ』『秋の理由』につづく福間健二の長篇第六作です。
パラダイスへの夢を失ったこの世界にどう生きるのか。どう希望をとりかえすのか。夫を失ったひとりの女性とそのまわりの人々に問いかけます。
木下夕爾の詩「死の歌」と原民喜の短篇小説「心願の国」をつなぐ地球への思い。その先の、生と死の境界をこえる視点から、わたしたちの生きる場所を再発見するように、幻想的かつリアルに「いま」を抱きしめます。
夫を失った女性亜矢子を演じるのは、『岬の兄妹』で話題の和田光沙。翔は映画初出演の我妻天湖。慎也は、死者の悲劇性のステレオタイプを打ち破る江藤修平。ユキは『あるいは佐々木ユキ』のユキの七年後の姿、もちろん小原早織。映画作家である川村講平には、『秋の理由』につづいて熱演する木村文洋。この五人にかかわる人物に、森羅万象、宇野祥平、佐々木ユメカ、スズキジュンゾ。監督が思いを寄せてきた「役者」が揃いました。