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2020.1.3『パラダイス・ロスト』クランクアップまで 05
8月23日イン、9月1日アップで、10日間の撮影を決定する。スケジュールを作るのは助監督だが、キャストやロケ場所の都合、天候や交通の状況などの条件を調整して組み立てる大変な仕事だ。初日は13時集合、キャスト4人、スタッフ10人。思いがけなく余裕ありの撮影は、国立でスタートした!
2日目からは8時集合・20時解散が通常となった。3日目は西荻窪の友人宅を、亜矢子の家として借りて屋内撮影。クーラーをかけていても15人近い人間が集まる場は熱を帯びる。演技にも熱が入る。翔の母信代役の佐々木ユメカさん初登板の日、いい画が撮れた。今回は、国立で長いつきあいのある二つのお店で撮影させてもらった。その一つ有機生産物の店「あひるの家」は、亜矢子が働く店として。「あひる」一家に出演もしてもらった。みなさん役者の素質大いにあり! 外では『止め俺』で福間健二を演じた「福間くん」こと外山将平さんが、亜矢子に挨拶するシーンを撮った。
もう一つの国立の長いつきあいのお店は「金水園」。450円のラーメンと500円のタンメン、知る人ぞ知る実力の絶品。宇野祥平さん演じる亀田くんには、曜日ごとに食事を提供してくれる7人の友人がいる。亜矢子の夫慎也は、亀田くんに金水園でタンメンをごちそうしていたという設定だ。撮影終えて、タンメンをスタッフで少しずつ味見して、そのおいしさにみんな感激。
撮影エネルギーの素、ロケ弁は大事だ。特に夏は屋外ではとてもきびしい。食欲も失せる。福間組はローバジェットの最たる現場だが、食事はケチらないがモットー。おいしい、10人以上可、涼しい、遠くない。これらの条件をみたす馴染みのお店にお世話になった。みんなの笑顔があってこその現場である。
劇中に登場する屋上は、絵描きでミュージシャンの友人Uさんが住んでいたマンション。以前、彼の案内で見せてもらい、とても気に入っていた。その後Uさんは引っ越し、建物のオーナーは家主から大会社に変わり、運悪く夏休みをとっていた担当者と連絡が取れなかった。だが撮影前日、難なくOKもらえて決行! とても幸運だった。
森羅万象さん演じるヒラカズ先生は、南の島の出身。南の島の黒糖を使った「この世のおいしいもの」を、亜矢子と翔にごちそうしてくれる。レシピだけを渡してこれを見事に作ってくれたのは、吉美パーティの御用達、弁当・惣菜の「長男堂」さん。ありがとうございました!
そして9月1日23時、吉祥寺美術学院にて、ごちそうの並ぶシーンを撮り終えてクランクアップ。このごちそうのすべてを用意してくれたのは、ガイラさんこと小水一男さんのお店「コズミックダイニングGAIRA」です。じつにおいしかった!幸運も困難もあった。しかしあの暑さのなか、一人も倒れることなく撮了できたのは、ひとえにキャスト・スタッフと多くの協力者の尽力によるものだ。みなさん、ありがとうございました!
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